INTRODUCTION/STORY

INTRODUCTION

TRUMPシリーズは次なるステージへ。
最新作は、ある一族を巡る「想い」と「繋がり」の物語。

『TRUMP』初演より10周年という節目を越えた2020年。

「生と死」という普遍的なテーマを内在させながら、エンターテインメント作品としての洗練を目指してきた本シリーズは、20周年に向けての新たな第一歩という矢先に、これまで以上に死を身近に感じる出来事と対峙することとなりました。

「ファンタジー」というジャンルを「現代に生きる人々の、心の写し鏡」として取り組んできたTRUMPシリーズにおいて、激変する社会情勢の中で作品を届けるという意義を改めて問われるものでありました。

そして、いかなる状況であろうとも「上質なエンターテインメント作品を」という信念のもと上演した音楽朗読劇『黑世界~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』では、あらゆる制限の中で自由闊達な演劇世界を創造し、シリーズのさらなる可能性を切り開いていくものとなりました。

それから今日まで、今、現在進行形で生きる人々に届ける作品とはどうあるべきか、作家・末満健一と絶えず意思疎通を重ね、『黑世界~』より1年半を経てお贈りする最新作。

本作では、「ヴェラキッカ」という一族を通して、「人の想い」を奇怪かつ情念深い物語で描き出していきます。

新たなステージへと突入するTRUMPシリーズに、どうか心をお寄せください。

人と人とが繋がりあうことを憚られる、大いなる分断の世で、皆様と作品とが繋がりあうことを願って。


2019年に上演した『COCOON 月の翳り』を「シリーズ初の青春物語です」と述べた際、「悲劇」が約束された本シリーズにおいて「まさか嘘だろ」「そんなわけがない」とそれはもう疑われてしまいました。「物語る」というのは語り手と受け手との腹の探り合いであり、その関係性が心地よくもあります。さて、最新作『ヴェラキッカ』は「シリーズ初の恋愛喜劇」です。いや、「恋愛」ではなく「人間愛」かもしれません。「喜劇」ではなく「奇劇」かもしれません。つまりは、ロマンティックコメディの皮を被った「人間愛奇劇」のようなものになればと色々と企んでおります。僕は未だに『COCOON 月の翳り』を「青春物語」だと思っていますが、そうは思わない方はどうか今回もまた疑ってください。腹を探り合いましょう。

作・演出 末満健一


STORY

ようこそ、秘密に覆われた荘園へ

TRUMP流「人間愛奇劇」、開幕。

名門貴族ヴェラキッカ家の当主ノラ(美弥るりか)は、遠縁の親戚であるシオン(松下優也)、異母弟のカイ(古屋敬多)、シオンの妹ジョー(愛加あゆ)、家庭教師のロビン(宮川浩)、執事のウィンター(西野誠)ら一族の仲間や、クレイ(大久保祥太郎)、マギー(斎藤瑠希)ら養子たちに囲まれて暮らしていた。ヴェラキッカ家の吸血種たちは、全員がノラに強烈なまでの愛情と執着を見せる。そこに新しい養子であるキャンディ(平野綾)が迎えられる。ノラを巡るマウントゲームにキャンディが巻き込まれたことから、ヴェラキッカ家の秘密が暴かれていく。